お茶の始め方 ー 茶道マインドフルネスコーチMiki先生が説明

How to Start Your Matcha Journey - explained by tea ceremony teacher Miki Sensei

お茶をお家で自分でどこからどのように始めたら、何から揃えたらいいのかわからない、というお声があると伺いました。

とてもいい質問で、あたかもどこかに正解があるようですが、
これが総合芸術といわれるお茶の素晴らしいところで、おそらくどれも正解だと思います。

お気に入りのお茶碗を使いたいから
京都のお土産で抹茶を頂いたから
着物を着たいから
日本が好きだから
この絵を見ながらお茶を飲みたいから
大切な人との心通わす時間を楽しみたいから
なんかとにかくかっこいいから

入り口が何であれどんな動機もお茶は包んで叶えてくれます。(そして実はその先が長いのですが。。。)

大切なのは、好き、の気持ち。なんで好きか、を突き詰めるのも個人的には好きですが、必ずしも好きに理由はなく、なんとなく、目が、身体が、心が向かう、そこに自分らしい世界が広がる種、火種があるので、それを大事に、気楽に、日常的に愛(め)で育むのにお茶はふさわしい役割を果たします。

きっかけはそれぞれ、何でもいいです。
これ好き、使ってみたい、面白そう、やってみたい、の自分の気持ちを大切に日々育てましょう。

まずはお茶碗(の代わりになりそうなボウル)と、茶筅、そしてお湯があればお茶はできます。

お道具はご自分が見て触って心地よいものがよいでしょう。
例えば茶筅一つでも、抹茶との相性、点てるご自分がどう感じるかを大切にされるなら、抹茶と同じ国、同じ文化で生まれた竹、その竹をよく知る職人さんが手作業で作られた茶筅は、工場で大量に作られたものとでは、お茶のおいしさも、ご自身への影響も雲泥に異なることに気づかれるでしょう。

このご自身の五感を頼りにお道具を選ばれるのが大事です。お値段が高い安いではなく、人気のもの、誰かがいいと言っていたもの、に増してその見た目、手に触れた感触、重さがご自身にとって快いか。ご自身の身体の動きが自然で心地よいか。
お茶を頂くことで自然そのものであるお茶と一体化する、というお話を以前いたしましたが(→9月コラム)、そのために点前で扱うお道具とご自分の身体が一体となっていくというプロセスが必要になります。

見るもの、聴くもの、触れるもの、それら環境に私たちは影響されやすい生き物です。ならば、自分はどんな影響を受けどうなりたいのか、それは自分が何が好きかを知ること、つまりは自分を知ることです。好きな度合い、好きなものに触れる頻度がその通りの自分、自分の毎日、世界をつくります。毎日のお茶の時間はその精度を上げる格好の実験の時間にもなるでしょう。

ってそんなにいろいろいっぺんに揃えられない!

大丈夫です。日本には‘見立て‘という先人からの知恵、文化があります。
炉も囲炉裏から、茶入れももとは薬壺や油壺から転用されたといわれています。
最初から抹茶用のお茶碗がなくとも、カフェオレボウルで、茶杓がなくともスプーンで、
釜がなくともティファールのケトルや魔法瓶で大丈夫です。始められない理由より始められる理由を見出そうと意識すると、世界はなかなか応援してくれるものです。

別の角度からも見てみましょう。

「釜一つあれば茶の湯はなるものを 数の道具を持つは愚かな」
利休の教えがうたわれた利休百首にある言葉です。
お湯を沸かす釜はお点前中ずっとお茶室にあり目立たないながらも意匠を持ちどっしりと亭主お客様と共に在ります。
また鉄でできた釜は手入れが肝要で、それでもいずれ錆び朽ちるお茶の美学を象徴する点前道具です。
それに見合う、扱えるだけの度量、在り方が茶人には求められる。それをごまかすように扱い切れないひけらかすための道具を持つのではない、という戒めです。

もう一つ利休の有名な話があります。武士や商人が競って珍しい茶道具を持ちたがった戦国時代、利休に大金を持ち込んで、ええ道具を見繕ってくれ、と言ってきた豪商に利休がただそっと送り返したのは、晒布一枚と「これで充分」という手紙でした。清浄の象徴である茶巾(茶碗を拭く晒布)さえあれば、清浄なる心身さえあれば、お茶は点てられる、ということです。

何はなくとも、
お茶を点てたい、
そして点てるにふさわしい自分の状態、この身体と心さえあれば。
その心身を磨くのが道、茶道なのです。

だからこれは毎日の暮らしのこと。何を思い、どう生きるか。
毎日いただくお茶一服、でなくてもコーヒー一杯をどんな器でどんな部屋でどんな服装で姿勢でどう淹れてどう飲むのか、何を思い、どう生きるか、全てはつながっています。

吾唯知足ー足るを知るー。
必要なものはここに全てある、
としたらwhy not?
始めない、始められない理由はご自分の中にないのであれば他にはどこにもないです。
一つの正解の型があるわけでもありません。

まずはあるもので、そして自分にとって本当に心地よい好きなもので、
まずは大事な自分のために気楽に始めてみませんか。

そしてもっと知りたくなったら、ぜひお近くのWSやお稽古体験に出かけてみてくださいね。
茶々舞舞も私も世界中どちらでも喜んで参ります。



著者:

藤﨑美紀 Miki FUJISAKI

ひばな(hibana to bloom) founder, tea life facilitator/coach

Webサイト: https://www.hibana-to-bloom.com/
Instagram: @hibanatobloom


大阪府出身。JAL CA時代に裏千家茶道を習い始める。ロンドン在住中に和カフェ(「Matcha」、「Cha no Ma」)の企画・運営、帰国後は海外事業部にて海外⇄日本の企画・運営に携わる。カフェ、茶の間、茶室に通じる、異なる存在が共に在ることでそれぞれのいのちがありのままに照らされ生かし合う場や関係性を探究すべくコーチング、ファシリテーションを学ぶ。

現在は「在る 在り合う」世界を今ここ私あなたから現すinterbeing をテーマに茶室やサロン、オンラインで、個人、企業向けに、茶道xマインドフルネスxコーチングのお茶会、お稽古、セッションを開いている。