抹茶とは?茶道マインドフルネスコーチMiki先生が解説 - Part 2

What is Matcha? Explained by a tea ceremony teacher Miki Sensei - Part 2

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前回は茶種としての抹茶についてお話しましたが、今回はその文化的歴史的側面から見ていきましょう。

起源と奈良・平安時代(710–1192)

抹茶は日本独自のものと思われがちですが、仏教や漢字と同様、中国から伝来した茶文化が起源です。遣唐使や留学僧が中国から持ち帰り、天皇に献茶した記録も残っています。当時の茶は蒸して固めた餅茶で、煎じて飲む形式。貴族や僧侶など限られた層のみが口にできる貴重品でした。

鎌倉・南北朝時代(1192–1392)

臨済宗の栄西が宋で禅宗と茶文化を学び、帰国後『喫茶養生記』を著して茶の効能を説きました。将軍源実朝にも献上された記録があります。宋から伝わった茶は、抹茶の原型である碾茶(蒸して粉砕した茶)で、茶筅を使って湯に溶かして飲まれていました。

栄西から茶の種を受けた高山寺の明恵上人は京都・栂尾に茶を植え、日本最古の茶園を築きました。ここで育てられた茶は「本茶」と呼ばれ、他の茶と区別されました。禅宗寺院を中心に茶園は全国に広がり、武士階級にも喫茶文化が浸透。南北朝時代には「闘茶」と呼ばれる茶の飲み比べも行われました。

🍃なぜ禅宗寺院で広まったのか?

厳しい自然における茶の栽培・加工・点てる・飲む のすべてが修行の一環とされ、煩悩を払う手段として効果が見いだされ推奨されたためです。

🍃茶の十徳

明恵上人が茶釜に刻ませたとされる茶の効能10か条には、加護、健康、感謝、煩悩消滅、長寿、覚醒、延命、心の浄化、神仏の加護、平静な臨終などが挙げられています。

室町~安土桃山時代(1336–1603)

足利義満や豊臣秀吉が宇治茶を庇護し、ブランド化が進みました。宇治では覆下栽培が始まり、高級な碾茶が生産されました。禅宗寺院の喫茶文化は商人にも影響を与え、村田珠光が「侘茶」を創出。武野紹鴎、千利休らが「茶の湯」を完成させ、豪商や武士に広まりました。

江戸時代(1603–1868)

茶の湯は幕府の儀礼に取り入れられ、武家社会に定着。一方、庶民には煎じ茶が普及していました。1738年、永谷宗円が「宇治製法」を確立し、鮮やかな緑色と香り高い煎茶を生み出しました。

※つまり利休の頃の抹茶はまだ現在のような鮮やかな緑ではなく、茶色に近かったと考えられます!

近代・現代

それまでの男性中心から明治以降、女性のたしなみとして学校教育でも取り上げられ、日本での茶道人口は最盛期は500万人を超えましたが、現在は200万人以下に縮小しています。それに伴い抹茶の生産も下降気味でしたが、近年茶道以外のスイーツやラテ、海外での需要が増加し、生産量も増加、現在は京都を抜いて鹿児島が碾茶生産量1位、静岡、愛知が続きます。現在は需要に対し後継者不足で手間のかかる抹茶は日本国内でも購入制限があるほど貴重なものになっています。

結局、抹茶とは?

抹茶の最大の特徴は「茶葉をまるごと頂ける」ことではないでしょうか。そのための先人たちの技術叡智が集約されているのが抹茶です。自然の厳しさと素直さ、不変の無常の象徴としてのお茶をまるごと頂く、お茶といういのちを頂く、それはすべてとつながり一体となるということです。

この地球の緑色、この香り、舌ざわり、味わい一つ一つに、そのつながりと膨大な時間と知恵を受け取り自分の一部として浸透し活かし生きることができる。先月14日に102歳で亡くなられた裏千家の大宗匠の言葉「一盌からピースフルネスを」にある念いを想います。

 



著者:

藤﨑美紀 Miki FUJISAKI

ひばな(hibana to bloom) founder, tea life facilitator/coach

Webサイト: https://www.hibana-to-bloom.com/
Instagram: @hibanatobloom


大阪府出身。JAL CA時代に裏千家茶道を習い始める。ロンドン在住中に和カフェ(「Matcha」、「Cha no Ma」)の企画・運営、帰国後は海外事業部にて海外⇄日本の企画・運営に携わる。カフェ、茶の間、茶室に通じる、異なる存在が共に在ることでそれぞれのいのちがありのままに照らされ生かし合う場や関係性を探究すべくコーチング、ファシリテーションを学ぶ。

現在は「在る 在り合う」世界を今ここ私あなたから現すinterbeing をテーマに茶室やサロン、オンラインで、個人、企業向けに、茶道xマインドフルネスxコーチングのお茶会、お稽古、セッションを開いている。

The Matcha Thread

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